入れ歯を常に清潔に保つために、入れ歯洗浄剤を使うことはとても重要です。
入れ歯は自分の歯のかわりになってくれる大切な存在ですが、お手入れを怠ると、残っている歯さえもリスクにさらしてしまいます。
今回は、そんな入れ歯を綺麗にしてくれる入れ歯洗浄剤についてご紹介します。
入れ歯洗浄剤を使わないとどうなるか・・・!?
そもそも入れ歯とは、失ってしまった自分の歯の優れた代替手段なのです。
口の中や歯の状態や形状がひとりひとり違うように、入れ歯も心地よく装着できるように各々に合わせて作られています。
まず初めに入れ歯について簡単にご説明します。
入れ歯って何でできてるの?
入れ歯の歯はセラミックやアクリル樹脂で作られており、ポリメアクタル酸メチルというアクリル樹脂を丁寧に着色した土台で支えられています。
土台のアクリル樹脂は、できるだけ本物に近く見えるように研磨して作られています。
そのつるっとした表面は細菌の蓄積を防ぐのにも一役買っています。
入れ歯の装着方法!
入れ歯の装着方法は、部分入れ歯と総入れ歯で異なります。
部分入れ歯は、自分の歯に金属フレームやワイヤーの留め具で装着することになります。
金属フレームやワイヤーの留め具の間には食べカスや汚れが溜まります。
そのため、より一層お手入れに注意しないと残っている自分の歯までも虫歯などになってしまう可能性があります。
入れ歯洗浄剤を使わないと・・・
もし入れ歯洗浄剤を使わないと、入れ歯の表面にプラークが生じ口臭の原因になったり、歯茎の炎症を起こすこともあります。
また、それだけではなく汚れた部分の細菌が繁殖し、それが肺にまで入ってしまうことで誤嚥性肺炎などを引き起こしてしまうこともあるのです。
その他にも、入れ歯が不衛生な状態にあるとカンジタ菌などが増殖し、免疫力や抵抗力が落ちたタイミングで「口腔内カンジタ症」を発症します。
口腔カンジダ症を発症すると、お口の中だけではなく全身に影響を及ぼすことがあります。
そうならないためにも、入れ歯を清潔に保つことはとても大切なのです。
やってはいけない入れ歯のお手入れ方法!
歯ブラシを使って洗浄する!
通常の歯磨きに使う歯ブラシを使って入れ歯のお手入れは厳禁です。
本来の歯と違い、入れ歯の歯はセラミックやアクリルでできているため、普通の歯ブラシの毛先は入れ歯にとって固すぎるのです。
固すぎる毛先で入れ歯の表面に小さな傷をつけてしまうことで、食べカスや細菌の温床となってしまう可能性があります。
歯磨き粉を使う!
普通の歯磨き粉を使うことも、入れ歯を傷つけてしまう原因になります。
歯磨き粉には研磨剤が含まれており、入れ歯の歯にダメージを与えます。
よって、普通の歯ブラシで磨くことと同様、歯磨き粉を使って入れ歯のお手入れをするのは避けた方が良いでしょう。
熱湯消毒をする!
細菌を殺すことを目的に熱湯消毒することは絶対にしてはいけません。
入れ歯は高温で変形してしまいますので、60℃以上のお湯につけると使えなくなってしまいます。
入れ歯以外の歯のお手入れを怠る!
つい見落としていまいがちなのですが、残っている歯の歯磨きも忘れずに行いましょう。
特に入れ歯に接している面は汚れがつきやすく、虫歯になりやすいので入念に磨くようにしましょう。
歯ブラシだけではなくデンタルフロスなども活用しながら残っている歯を大切にしてください。
また、入れ歯を入れていると通常よりも細菌が繁殖しやすい状態になっていますので、お口全体の洗浄も欠かせません。
うがい薬でのうがいや、舌などの洗浄も忘れずに行いましょう。
入れ歯洗浄剤の効果!
次に、入れ歯洗浄剤の効果についてみていきましょう。
入れ歯洗浄剤はさまざまなメーカーから出ていますが、主な機能は4つです。
- 殺菌作用
- 洗浄作用
- 消臭作用
- 歯石の予防
この4つを兼ね備えているものを選べば間違いないでしょう。
また、成分によって効果が異なりますので、それぞれの特徴をみて自分に一番合ったものを選ぶのもひとつの方法です。
〈過酸化物系〉
入れ歯洗浄剤の中ではもっともポピュラーで普及しているタイプです。
発砲作用があり、その泡によって汚れや歯についた着色を落としていきます。
殺菌作用はそこまで高くはありませんが、その分安全性が高いので安心して日常的に使っていただけるのが特徴です。
〈次亜鉛素酸系〉
入れ歯洗浄剤の中では、最も殺菌力が高いタイプです。
また漂白作用も高いので、こびりついた着色汚れなどにも非常に効果的であるといえます。
ただし、洗浄力が高すぎるが故、長時間入れ歯を浸したり日常的に常用していると、入れ歯そのものを傷つけてしまう可能性があります。
できるだけ日常使いはせず、定期的なお手入れに取り入れると良いでしょう。
〈酵素系〉
酵素の働きを利用し、細菌や食べカスのタンパク質を分解して洗浄します。
安全性が高く日常使いに最適ですが、漂白作用はほとんどありません。
入れ歯洗浄剤の使い方!
入れ歯洗浄剤も正しく使わなければ、せっかくの効果も半減してしまいます。
正しい洗浄方法を守って、毎日の入れ歯のお手入れの参考にしてください。
①入れ歯を外す
入れ歯の洗浄はつけたままではできません。
通常の歯磨きのように装着したまま歯磨きをすることはやめましょう。
②水やぬるま湯で洗い流す
入れ歯を外したら、まずは水やぬるま湯でざっと洗い流すようにしましょう。
大きな汚れはここで落としてしまいましょう。
③入れ歯専用ブラシで磨く
歯についた食べカスや細かな汚れは、入れ歯専用ブラシを使ってきれいにしましょう。
入れ歯専用ブラシは毛先が柔らかくできていますので、力を入れすぎず、細かく振動させながら磨いてください。
④水やぬるま湯で汚れを落とす
専用ブラシで磨いたあとは、水やぬるま湯で汚れを落としてください。
⑤入れ歯洗浄剤につける
入れ歯洗浄剤を水などに溶かして洗浄液を作りましょう。
その洗浄液に入れ歯を浸します。
洗浄液の作り方や浸す時間は、メーカーや製品によって異なりますので、必ず説明書通りに行うようにしてください。
規定時間を超えて長時間浸し続けると、入れ歯をいためてしまうこともあるので注意が必要です。
⑥洗浄液をすすぐ
洗浄液から入れ歯を出し、水できれいに洗い流しましょう。
なお、一度使用した洗浄液は必ず破棄して再利用はしないでください。
一見きれいにみえても、取れた汚れがそのまま残っていて不衛生な上、洗浄効果は低下しており期待できません。
しっかりと洗浄液を洗い流しましょう。
外した入れ歯はどうするの?
夜間は基本的に入れ歯を外すように指導されることがほとんどです。
稀に入れ歯や口腔内の管理がきちんとできている場合に限り、装着したまま寝ることを推奨している歯医者さんもいるようですが、寝ている間は虫歯菌も繁殖しやすく、外して寝るのがオススメです。
外した入れ歯を必ず水の中に浸しておくようにしてください。
そのままにしておくと入れ歯は乾燥してしまい、ひび割れや変形の原因になりますので、注意が必要です。
浸けておいた水は必ず毎日交換するようにしてくださいね!
いかがでしたか?
入れ歯のお手入れはポイントさえ押さえれば簡単に行えます。
入れ歯は自分の歯の替わりになる大切なものです。
入れ歯を作ったらそれで終わり、という訳ではなく正しいメンテナンスをすることで、より長く快適に使用することができるのです。
いつまでも美味しく食事を楽しんだり、周りの目を気にせずおしゃべりできるようになるためにも、毎日のお手入れを欠かさずに入れ歯を大切にしてくださいね!